令和2年、7月19日(日)、ルネこだいらレセプションホールにてピアノ発表会を開催しました。
毎年恒例の7月の発表会ですが、今年はいつになく不安でした。
新型コロナ感染拡大がなかなか収まらなかったからです。
当日に開催中止、ということにもなるかも知れないと、覚悟もしました。
しかし、お陰さまで無事開催することが出来ました。そして開催後も幸いなことに、感染など何事もありませんでした。
綱渡りするような気持ちでおりましたが、生徒さんと保護者の方々のご協力があり、運も味方についてくれての結果でした。
これから近々発表会を開催予定の先生、参加予定の生徒さん、コロナが収束したとは言えない現在、不安な気持ちでいらっしゃることでしょう。
今後の状況によっては、会のスタイルを大きく変える必要が出てくるかも知れませんね。
日々状況は変化し、開催の場所や人数、会の形など、お教室によってそれぞれ事情が違うと思います。
それであるのに、私のたった1度の小さな経験がお役にたつのか分かりません。
でも、少しでも参考になることがあればと思い、3月から発表会までの経過と、オンラインレッスン、感染予防に関することををお話したいと思います。
もくじ
臨時休校
2月28日、(元)安倍総理から、3月2日から春休みまでの臨時休校の要請がありました。
学校が休みなのにレッスンをしても良いものだろうかと考えましたが、「希望者のみレッスン」という形をとりました。
このときはまだ、私も生徒さんもそれほど危機感は高くなかったと思います。
「希望者のみ」という事でしたが、結局マスクをして全員がいつも通りにレッスンに来てくださいました。
学校が休みで、皆さん時間を持て余していたこともあったと思います。
オンラインレッスン準備
3月半ば。コロナの収束が見えないどころか拡大。
「このままでは4月のレッスンはお休みすることになってしまう。それでは発表会の準備が間に合わないし、発表会がなかったとしてもレッスンの間隔ががあまり開きすぎるのはよくない。」と思い、急遽オンラインレッスンの準備を始めました。
ピアノのオンラインレッスン?
考えたこともありませんでした。
そもそもピアノは『音』が大事です。その『音』をパソコンやタブレット、あるいはスマホを通して聴いてレッスンになるだろうか。
しかし、何事もやってみなければわかりません。
「どうやらZoomというアプリを使うのがいいらしい」と聞き、スマホでやり方を調べ、ピアノ教師友達や息子を相手に接続を練習し、パソコンの位置や角度を何度も調整してなんとか準備を整えました。
生徒さんにとっても恐らく初めてのことでしたでしょう。できるだけハードル低く、参加しやすくするために、次のように用意しました。
<リアルタイムでのオンラインレッスンの場合>
「LINEのビデオ通話」か「Zoom」のどちらか好きな方を選択
<録音の場合>
生徒さんに録音したものをこちらに送ってもらい、こちらからは楽譜に注意事項を書いたものとお手本演奏を送る
いずれの場合も、初回のオンラインレッスンは無料としました。
では、Zoomで。
4月、案の定コロナは落ち着かず、通常レッスンは厳しい状況になりました。
そこで、ドキドキしながら生徒さんにオンラインレッスンのご案内をしてみました。
すると、なんと一人を除いて全員が「では、Zoomでお願いします。」とのお返事。
お若い保護者の方が多いからでしょうか、スマホやパソコンを使って新しい事にチャレンジすることに、抵抗が感じられませんでした。
後から聞いたところでは、塾の授業が既にZoomで行われていて、慣れているのだという方もいらっしゃいました。。
因みに、オンラインレッスンを希望されなかったお一人は小学生なのですが、お母様がフルでお仕事をされていてレッスンの時間に家にいないため、タブレットを本人だけで操作するのが難しいからという理由でした。
結局最終的にはその方も、お母様のお仕事の休みの日にレッスン日を変更し、Zoomのオンラインレッスンに参加してくださいました。。
オンラインレッスンの長所と短所
さて、いよいよZoomでのオンラインレッスン第一回目。
画像は出るけれど音声が聞こえない、またはその逆、など最初は接続がうまくできませんでしたが、それでもあちこちいじっているうちに(?)なんとか繋がりました。
以降、5月末までリアルタイムでのオンラインレッスン。
隣市に住む大人の方のレッスンだけは、通信状態がいつも悪かったので、途中からは録音のやり取りに切り替えました。
さて、オンラインレッスンの長所は?
意外とたくさんありました。
1,私の言う事、弾く音をよく聴いてくれる
小学生以下の生徒さんによくあることですが、私がなにか注意しようとすると、そこをすぐさま弾き始めます。
何をどう弾いたら良いのか、理解していないのに。
その点オンラインレッスンだと、熱心に耳を傾けてくれます。
2,2台のピアノでレッスンしているみたい
うちはレッスン室にピアノが1台しかありません。が、オンラインレッスンだと、私が弾いて見せたい時にすぐに弾けるので、「2台ピアノでレッスンしているみたいで良いです!」と大人の生徒さんから好評価でした。
3,自分で楽譜に注意事項を書く
レッスン中に注意したことを、自分で楽譜に書かなければなりません。
自分自身で書くことによって、記憶が確かなものになります。
4,何度も練習 何度も聴ける
録音のやり取りレッスンの場合、下手な演奏を送りたくないため、いつも以上に練習し、何度も録り直しをすると生徒さんから聞いています。
また、私の録音を何度も聴き返せるのも良いようです。もっとも、こちらも録音をやり直すことがありますが!
5,生徒さんの普段の様子がわかる
生徒さんが、普段どのような姿勢でピアノに向かっているのかわかります。低すぎる椅子に座っていたり、ピアノに近すぎる位置で弾いていたりすることがあるので、その場合は、保護者の方に正しい姿勢をお伝えします。
6,レッスンの様子を保護者の方に見てもらえる
子供の場合ですが、普段お忙しくてレッスンについて来る事ができない保護者の方に、レッスンの様子を見ていただける上、いつも以上にコミニュケーションをとる事ができたので貴重な機会だったと思います。
短所
1,音の細かいニュアンスは伝わりにくい
予想通りのことです。しかし、オンラインレッスンが普及しつつある今、これから音楽に特化した無料のアプリが開発される日が来るのもそう遠くないでしょう。
2,時間がかかる
これも子供の場合ですが、普段のレッスンで5つの事ができるとしたら、オンラインレッスンでできる量は3・5から4くらいです。発表会やコンクールなど、仕上げの期日が決まっている場合は、それを念頭に置いてレッスンする必要があるでしょう。
対面レッスンでの感染対策
6月。やっと対面レッスンができるようになりました。
とはいえ、コロナが収まったわけではないので、感染対策が必要です。
うちの教室の感染対策は次のようにしました。
1,除菌スプレーでドアノブや階段の手すりなど、手が触れるであろう場所の消毒
2,洗面所にペーパータオルと紙コップの設置
レッスンに来た生徒さんには、まず手洗いうがいをしてもらいます。私も生徒さんが変わるごとに手洗いをします。
3,玄関に消毒用アルコールの設置
レッスン終了後、帰りに手指の消毒をしてもらいます。
4,子供用のレッスングッズを当面使用しない
5,換気
防音室なので、空気換気清浄機がついています。しかし、レッスン時間の途中で一度、生徒さんの入れ代わりの時に一度、換気をしています。
6,マスク+フェイスシールド
生徒さんにはマスク着用をお願いし、私は、マスク+フェイスシールドを着けています。
7,鍵盤は水拭き
ピアノの鍵盤はアルコール消毒出来ません。ひび割れの原因になるからです。
除菌できるキークリーナーもありますが、鍵盤の素材を選びます。うちのピアノには使えるものが、今はまだありません。
なので、水に濡らしたペーパータオルを固く絞って拭いています。
発表会申し込み
6月半ば、発表会申込書を配布。
申し込み締切りを6月末としました。
ここで、発表会参加を迷っているという小学生の生徒さんがいました。
「曲が上手く弾けなくて、発表会に間に合わないから・・・」が理由でした。でも、お母様とお話して、それだけが理由ではないと感じました。
コロナが心配だったようです。
分かります。
私自身、心配でしたから。
そのお母様には以下の事をお伝えしました。
1,曲の仕上がりについては、全く問題ないので、お子さんを励ましてほしい。。
2,申込書は遅れても良いので、急いで決断しないように。
3,ホール側からは、「コロナが理由で催しを中止した場合、申込金は全額返金する」と言われているので、参加費も返金可能。
4,発表会は関係者のみの開催にすること。場合によっては本人とそのご家族だけホールに入って演奏を撮影録音し、後から編集してYou Tubeの限定公開で、生徒の皆さんに見ていただけるようにするなどを考えている、ということ。
結果、1週間遅れでその方は申込書を出してくれました。
リハーサル
いつもは発表会の1週間前に、楽器店のイベントスペースをお借りしてリハーサルを行います。
今回はそれは省略し、一人ずつうちに来てもらってリハーサルの代わりとしました。
今回は、初めて参加するという方はいらっしゃらなかったので、レッスン室だったこともあり、お辞儀の位置など確認しなかったのですが、これは失敗でした。
小学生の生徒さんは、本番で変な位置でお辞儀をしていましたので(笑)、毎回確認しなくてはいけませんね。
当日
発表会は、観客の制限をする以外はほとんどいつも通りに行いました。
当日の感染対策は次の通りです。
1, 入場できるのは関係者のみ。
2, 入口は、全員従業員通用口を使用し、検温をして入館。
3, 受付には、消毒用アルコールを用意。また、関係者のみの会で、一般の方はご遠慮いただきたい旨を表示。
4, 舞台袖にも消毒用アルコールを用意。演奏前に手指の消毒をする。
5, 客席の椅子の配置は間隔をあける。
6, 先生×生徒の連弾の時、自分はマスク着用。
7, 休憩時間を長めにとり、換気を行う。
8, 休憩時間にピアノの鍵盤を拭く。
9, ロビーにおいても、水分補給以外の飲食は禁止。
10,終了後の集合写真はなし。
11,記念品、お花のお渡し前に手指のアルコール消毒。
12,終了後、客席の椅子のアルコール消毒。
まとめ
以上が、休校が決まってから7月の発表会までの流れでした。
正直、いっそ中止にしてしまった方が気持ちがラクになる、と何度も思いました。
でも、この発表会を前々から楽しみにして、難しい曲に挑戦している生徒さん方のことを思うと、ただ中止には出来ないと思いました。
もし、取りやめるのであれば、何か違った形で彼らに発表の場を作らなければなりません。
しかしいつ?
仕上げた曲をいつまでも良い状態に保っておくというのは、とても難しい事ですから、いつでも良いというわけではありません。
緊急事態宣言が再び発令されるような事がなければ、細心の注意をした上で予定通り行うのが良いのだろうと考えました。
まさに薄氷を踏む思いでの開催でした。
小さな教室で、人数が少なかったから出来たのだとも思います。
これから発表会の予定がある先生、生徒さん、ご家族の方々、無事発表会が出来ますように、心から祈っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ホームページへはこちらから
https://piano-workshop.net/myj/aso/school